「ポート」とは?

「ポート(Central Venous catheter with Ports)」は、血管への刺激が強い抗がん薬*の点滴を行うときに、血管への負担を減らし、痛みを我慢することなく治療を続けるために開発された皮下埋め込み型の医療器具です。
「静脈カテーテル」の一種で、「CVポート」、「皮下埋め込みポート」とも呼ばれます。

※炎症性抗がん薬のシスプラチンや5-FU 、血管痛が強いドキソルビシンなど

ポートが血管にやさしい理由

 

点滴用の抗がん薬を投与する主なルートには、①腕などの「末梢静脈」からの投与②心臓近くの「中心静脈」からの投与の2つがあります。

一般的に行われているのは①ですが、腕の静脈は細く、血液の流れも少ないために、刺激のある抗がん薬を投与する場合には、痛みを伴ったり、血管を傷つける静脈炎を起こしてしまうことがあります。

ポートを使って行うのは、②の「中心静脈」からの投与です。心臓付近の静脈は、腕の静脈に比べて太く、流れる血液の量も多いので、薬剤がすぐに薄まり、刺激性のある抗がん薬でも、血管壁への影響が小さく、痛みや苦痛を感じにくいと言われています。

ポートの構成と仕組み

ポートは、薬の注入口であるシリコーンゴム製の「本体」と、薬の通り道である「カテーテル」(チューブ)で構成されています。
カテーテルを心臓近くの中心静脈に挿入して、皮膚の下に埋め込んだ本体とつなぎます。
カテーテルをどの血管から挿入するか、本体をどの位置に埋め込むかは、治療内容やライフスタイルなどによって決めていきます。

ポートの適応

乳がんの化学療法を行っている方で、特に以下のような方に適応します。

  • 血管が細い、もろい、見えにくいなど、静脈経路の確保が難しい方
  • 薬剤投与が長期間にわたる方
  • 点滴の際に薬剤が漏れやすい方
  • 血管への刺激が強く、静脈炎などが起こりやすい薬剤を投与される方

 

監修:土井 卓子(医療法人湘和会 湘南記念病院 乳がんセンター長)