ポートを埋め込む位置
ポートを埋め込む位置は主に以下の3パターンがあります。それぞれに、メリットとデメリットがあるので、治療の内容やライフスタイルなどを考慮しながら、最も適切な位置を決めます。
カテーテルを鎖骨下静脈に挿入するパターン
カテーテルを鎖骨近くの静脈から挿入。本体は、胸に埋め込みます。
〈メリット〉
カテーテルの固定が簡単。
外見上、カテーテルが目立ちません。
〈デメリット〉
ポートを埋め込む手術の際に針が肺に当たって起こる血気胸や動脈誤刺などのリスク、カテーテルの閉塞や破損などの可能性があります。(エコー画像を見ながらの手術であれば安全)
カテーテルを内頸静脈に挿入するパターン
カテーテルを上腕の静脈から挿入。本体も上腕に埋め込みます。
〈メリット〉
上腕部は皮下組織が厚いので、ポートが安定します。
埋没部分が目立ちません。
上腕部は、前胸部と比較して皮膚表面温度が低く皮膚細菌が少ないため、カテーテル周囲の感染症が少ない。
〈デメリット〉
カテーテルが長いため、深部静脈炎、滴下不良、血栓症、肘関節部でのカテーテル断裂・破損がまれに報告されています。
カテーテルを上腕に挿入するパターン
カテーテルを首の静脈から挿入。本体は、胸に埋め込みます。
〈メリット〉
ポート本体から中心静脈までの距離が短いので、体型や血管の細さなどの条件を問いません。
エコー画像を見ながら針を刺すので、安全で確実。
カテーテルの閉塞や屈曲のリスクが少ない。
〈デメリット〉
鎖骨下静脈に挿入するパターンと比べて、外見上、カテーテルの膨らみが目立ちやすくなります。
監修:土井 卓子(医療法人湘和会 湘南記念病院 乳がんセンター長)