妊娠・出産と乳がん治療
治療中は必ず避妊を
乳がんの治療が、胎児に影響を与える可能性があります。治療中は確実な避妊が必要です。
また、すべてではありませんが、化学療法(抗がん薬治療)に使われる薬剤の種類によっては、治療後も体内に数か月残ることがあります。そのため、化学療法終了後は、数回月経を迎えてから、妊娠する方がよいとされています。
妊娠中に乳がんを発症したら?
妊娠中に乳がんになっても、妊娠を継続し、出産することは可能です。妊娠したことで乳がんの進行が早くなることや、再発のリスクが高くなることはありません。ただ、胎児への影響を考えて、治療に一定の制限が加わります。手術の必要があるときは、妊娠初期には行わず、妊娠中期以降に行います。
化学療法(抗がん薬治療)は、妊娠初期には胎児に奇形や異常が起きる可能性があるので行われません。薬剤の種類によって、妊娠中期以降は使えるものがあります。また、ホルモン療法や放射線治療は、妊娠中は行うことはできません。
将来子どもを産みたい人は、医師に相談を
乳がんで化学療法(抗がん薬治療)を行うと、卵巣機能が低下して、月経が止まり無月経になることがあります。特に40歳以上の人は、化学療法(抗がん薬治療)で早期閉経する確率が80%以上と言われています。
将来子どもを産みたいと考えている方には、乳がんの治療の前に受精卵や卵子や卵巣を凍結保存するという方法もあります。妊よう性温存治療(妊娠するための力を保つ治療)が可能かどうかを、治療開始前に主治医に相談しましょう。
監修:土井卓子(医療法人湘和会 湘南記念病院 乳がんセンター長)