乳がん患者友の会 きらら

乳がん患者さんの毎日が笑顔できらきら輝くように、
コロナ禍でも正しい情報提供とおしゃべり会を

オンラインで続けています。

「乳がん患者友の会 きらら」は、2003年から広島で活動を続けている乳がん患者さんとそのご家族のための会です。理事長の中川圭さんに、同じ体験をした仲間が互いに支え合いながら、正しい情報を得ることの大切さについてお話しいただきました。

ピンクリボンdeカープで乳がん検診啓発活動を実施

コロナ前の「きらら乳がんフォーラム」会場風景

中川 圭さん

  • 認定NPO法人乳がん患者友の会 きらら 理事長
  • NPO法人広島がんサポート 副理事長
  • NPO法人パンキャンジャパン 広島支部長
  • 難治性乳がんサポートプロジェクトUPEACH代表
  • 一般社団法人日本がん患者フォーラム(FFJCP)副代表理事

2000年夏、42歳の時、乳がんと診断され、その後、他臓器への転移があったものの適切な治療を受け、「乳がん患者友の会きらら」を立ち上げた。ピアサポート活動や、医療者の協力のもと、患者・家族への情報提供活動に力を注いでいる。
乳がんへの関心を高める啓発活動をおこなうかたわら、全がん種を対象としたNPO法人などの活動にも携わっている。

いつから「きらら」の活動を始めたのですか?

【中川】2000年の夏に乳がんとわかり、当時は入院期間が長かったので、同じ頃に手術をした人たちと親しくなって、自然発生的に乳がんの勉強会を始めました。それが2年続いたので、2003年1月に任意団体「乳がん患者友の会きらら」として発足し、2011年にNPO法人に、2016年に認定NPO法人として認定されました。

どういう意図で会を立ち上げたのですか?

【中川】もともと私たちが集まったのは、自分たちの病気がどういうものかを知るべきだと思ったからです。2000年当時の広島では、情報を得ることも難しい状況でした。まちがった治療法を勧めるような情報もあり、より多くの正しい情報を知らなければ!と勉強会を始めたのです。幸い、私たちを正しい情報に導いてくださる方々がいらしたおかげで、前向きに治療に取り組め、元気に毎日を送ることができました。それで、私たちがうれしかったこと、ありがたかったことを、今度は別の誰かにお返ししたいと思ったのです。

どんな活動をしているのですか?

【中川】月に1回、専門家をお招きして相談をする定例会とおしゃべり会をずっと続けてきました。会員はだいたい100人前後です。おしゃべり会は、会員ではない方も含めて、誰でも好きな時間に来て、好きな時間にお帰りいただくというスタイルです。コロナ禍でリアルではなかなか開催できなくなりましたが、数年前からYouTubeに「きららチャンネル」を開設し、過去の動画をアップしていたので、最近はオンラインに活動をシフトしています。地元の病院の先生方にボランティアで出演していただく500人規模の講演会「きらら乳がんフォーラム」も、ライブ配信の後、YouTubeで配信しています。

これからやってみたいことは?

【中川】実は昨年、札幌、大阪、岐阜、福岡の乳がん団体さんと一緒に「難治性乳がんサポートプロジェクトUPEACH」を立ち上げ、10月16日、5地域で一斉にライトアップイベントを実施しました。当地では広島城をピンクにライトアップし、シークレット花火も打ち上げ、集まってくださった方々の拍手に大感激。ただ、大変な誤算がありました。ライトアップの色をピンクに変えるだけならお金はそんなにかからないと思っていたら、広島城のライトアップはLEDではなく、木枠を組むところからやるので数十万円もかかるとわかったのです。本当に倒れそうになりましたが、引くに引けず(笑)。フォーラムの広告宣伝費が浮いたのでなんとか払えたものの、後先考えずに行動する性格を深く反省しました。でも、市民の方にも喜んでいただけて、インスタグラムでも盛り上がったので、これは続けていこうと思いました(笑)。地元密着のちっちゃな会で、お金はないけど、がんばります!

ピンクのライトアップが映える広島城

広島城のライトアップと同時に花火も打ち上げました!
©kazu kazu0425

 

最後に、乳がん患者さんへのメッセージをお願いします。

【中川】今は誰もが閉塞感を感じる状況で、乳がん患者さんはとくに感染を心配されて閉じこもりがちになられていると思います。でも、感染をむやみに怖がって受診控えをすると、適切な治療の機会を逸することもあります。そこはどうか間違えないでください。

リアルで人と会っておしゃべりすることも難しくなっているので、ついつい自分だけが不幸な気がしてしまうかもしれません。でも、実は同じ病気でがんばっている人がいることを忘れないでください!直接会うことはできなくても、患者会や拠点病院のがん相談支援センターに、「つらい」とか「悲しい」とか、SOSを発信してください。そうしたら、きっと「あなたはひとりじゃないよ」と手を差し伸べてくださる方が、案外身近にいらっしゃるんじゃないかなと思います。

ひとりで抱え込んでいると、どんどん悲しい方向に行ってしまいますが、何か楽しいこと、面白いことを見つけて、ワクワクドキドキしたいなと思えば、同じ1日でもずいぶん違うと思うのです。皆さんはひとりじゃないので、自分から面白くない方向に行かないように、楽しい方向、ワクワクできる毎日に向かってがんばっていこう!という気持ちになってくださったらいいなと思います。

 「CVポートについて意見を伺いました」

必要になったときに抵抗なく選べるように
CVポートの情報を前もって知っておきたい

【中川】私はCVポートを利用されている方とたくさんお付き合いしているので、相談される方にも、「CVポートを入れたほうが、点滴がラクになりますよ」とお勧めしています。でも、ほとんどの患者さんはCVポートのことをご存じありません。点滴がつらくなり、いよいよ必要になったときに初めて提示されるので、手術が必要なことに不安を感じたり、「それでなくても大変なのに、また大変なことを・・・」と負担に感じるのだと思うのです。やはり患者さん本人はもちろん、家族にも、事前になんらかの形でCVポートに関する情報提供があったほうが絶対いいと思います。その時はピンと来なくても、必要となったときに、「ああ、前に聞いたあれのことだな」と心構えもできますし、捉え方も違ってくるはずです。私たちが乳がんに関する講演を続けている意味もそれと同じで、患者さんやその家族により多くの正しい情報を提供することで、前向きに治療に取り組んでいただきたいと思うからなのです。