マンマチアー委員会

マンマチアーは、女性の乳房の健康を守る応援団!
"乳がんで苦しむ女性を減らしたい"という思いをこめて、
2010年からチアー活動を続けています。

マンマチアー委員会は、NPO法人女性医療ネットワークの一部門として、毎月1回、参加費無料のセミナーを通じて乳がんの啓発を行っています。同委員会を共同で主宰されている女性医療ジャーナリストの増田美加さん、美容ジャーナリストの山崎多賀子さんにお話を伺いました。

 

コロナ前のマンマチアーの活動の様子。コロナ前はリアルで行っていた。

増田美加さん(女性医療ジャーナリスト)

当事者視点に立った女性のヘルスケアや医療情報について執筆、講演を行う。乳がんサバイバーでもあり、がんやがん検診の啓発活動を行う。
著書に『もう我慢しない! おしもの悩み ~40代からの女の選択』(オークラ出版)、『医者に手抜きされて死なないための患者力』(講談社)ほか多数。NPO法人「女性医療ネットワーク」理事、「マンマチアー委員会」共同主宰。NPO法人「乳がん画像診断ネットワーク(BCIN)」副理事長。NPO法人CNJ認定乳がん体験者コーディネーター。NPO法人日本医学ジャーナリスト協会会員。
増田美加オフィシャルサイト http://office-mikamasuda.com/

山崎多賀子さん(美容ジャーナリスト)

会社員、女性誌の編集者を経てフリーに。長年、美容と健康医療の取材・執筆活動を行う。2005年に乳がん発覚。治療体験を経てピアサポート活動を開始。がんに関する情報発信やがん患者さんのためのアピアランス(外見)ケアに関する講演もライフワークに。「マンマチアー委員会」共同主宰、NPO法人キャンサーリボンズ理事、NPO法人CNJ認定乳がん体験者コーディネーターほか、複数のNPO、患者会のメンバーとしてがんの啓発活動を続けている。著書に『「きれいに治す!」乳がん宣言』(光文社)がある。


マンマチアー委員会を立ち上げたきっかけは?

【増田】医療ジャーナリストとして乳がんの取材を重ねてきていたとき、2006年に乳がんが発覚。「まさか自分が…」と驚きました。乳がんの罹患をきっかけに、乳がん検診で早期発見、早期治療することの大切さと、乳がんの正しい知識を伝える活動がしたい、と思うようになりました。記事に書いて発信するだけでなく、リアルに顔が見える距離で、伝えられる活動にしたいと思いました。

当時、そんな思いを産婦人科医でNPO法人女性医療ネットワーク理事長の対馬ルリ子先生にお話ししたら、「それなら、女性医療ネットワークでやったら」と言ってくださいました。山崎多賀子さんも同様の活動をしたいと思っていると聞き、マンマチアー委員会を立ち上げて、乳がんの啓発セミナーを毎月1回開催することになりました。2010年4月が第1回のマンマチアーのセミナーでした。その後も、毎月リアルでセミナーを続けていましたが、コロナ禍でオンラインに変更して継続。2021年12月で133回目になります。

【山崎】私は2005年に対馬先生のクリニックで女性検診を受けたことがきっかけで乳がんが発覚し、抗がん剤治療やホルモン療法、乳房再建などを経験しました。美容ジャーナリストとして女性ホルモンが果たす役割をよく知っていただけに、女性ホルモンの作用を止めてしまう治療はすごく怖かったのですが、取材を通して正しい医療情報に触れたことで恐怖が和らいだのです。正しい知識がないと、人は“選んではいけない楽な道”に走りたくなります。やはり正しい情報の啓発をしたい!と思いました。

がん患者さん同士が思いを共有する場はとても大切ですが、患者会はすでにたくさんある。私たちがやるべきは、患者さんやサバイバーだけでなく、いろんな人を巻き込んで、社会を変えることではないかと。乳がんを知らない人にも正しい情報を知ってもらいたいという思いでこの活動を始めました。幸い、美加さんも私も、セミナーの講師をお願いする人脈に恵まれていたので、手弁当でずっと月1回のセミナーを続けてこられました。

お二人はもともと知り合いだったのですか?

【増田】私は乳がんの治療をしていた時に、雑誌「STORY」で連載されていた多賀子さんの乳がん体験記を読んで、一読者として「私も頑張ろう!」と励まされました。ですから多賀子さんは、乳がんの先輩。 初めてお会いしたのは、私が2007年に出した『乳がんの早期発見と治療 これで安心』の出版記念会です。進行がんの方もたくさんおられる中で、おどおどしながら「早期発見でよかった」という話をしたら、多賀子さんが「“早期発見でごめんなさい”と思う必要なんかない。早期発見はすばらしいことなんだから、自信をもってみんなに伝えたほうがいい」と励ましてくださって。多賀子さんのその言葉で、自信を持って講演でお話することができるようになりました。

マンマチアー”の由来は?

【増田】マンモグラフィの「マンモ(mammo)」と応援するの「チアー(Cheer)」からつくった造語で、“おっぱいを応援する会”という意味です。対馬先生が考えてくださった名前で、私たちもとても気に入っています。

セミナーのテーマも、乳がんだけでなく、女性の健康へと広がっていますね。

【増田】乳がんの経験がある、ないにかかわらず、女性は一生の中で女性ホルモンの影響を大きく受けながら、生活しています。乳がんの薬物療法で、女性ホルモンを抑える治療をすることで起こるさまざまな不調は、更年期障害の症状と同じ。たとえば、骨粗しょう症やGSM(フェムゾーンの不調)は、すべての女性に共通です。こういうテーマは、マンマチアーが患者会ではなく、乳がんの方も、そうでない方も、男性も、参加している会だからできることかなと思っています。

セミナーにはどんな方が参加されていますか?

【山崎】半分以上は乳がんの経験者だと思いますが、医療者やマスコミの方も多いし、一般の方もいます。常連さんもいますが、毎回20~40人くらい初めての方が参加されます。スピーカーの方の知り合いや友だちが参加されたり。2020年の7月からはオンライン開催になったことで、まさに私たちの当初の狙いどおり、乳がんの経験者ではない方も気軽に参加でき、しかも無料で聴けるということで、参加者が広がっています。

【増田】オンラインで海外から参加される方も増えたし、男性も増えました。ご夫婦や、乳がんのお母さんと高校生の息子さんなど親子で参加される方も。一度参加された方が「よかったよ!」とSNSで拡散してくださって、共感の輪がとてもいい感じで広がっています。それはすごくありがたいし、うれしいことだなと思います。

最後に、乳がん患者さんへのメッセージをお願いします。

【山崎】コロナ禍で孤独と不安を抱える患者さんが増えています。私ひとりだけがこんなことになっちゃって・・・と落ち込んでいる方がすごく多いのではないかと思います。でも、「助けて!」と声を上げさえすれば、手を差し伸べてくれるところはたくさんあります。医療者の方ーにでも、ソーシャルワーカーさんにでも、患者会にでも、身近にいる同じ病気を経験した方にでも。ぜひ勇気を出してSOSを出してほしいと思います。

【増田】コロナで病院に行くことに二の足を踏んでしまう人たちが増えていて、去年は一時、検診を受ける方が5割減ったというデータもあります。乳がんの患者さんの場合は、乳がんについては定期的に主治医に診てもらっていても、それ以外のがん検診は、なかなか受診しづらかったのではないかと思います。今は医療施設も感染対策をしっかりしているので、乳がん以外のがん検診も定期的に受けてほしいです。

2021年 1月にコロナ禍でオンライン開催されたセミナーのテーマは「がんのアンコンシャスバイアス(無意識の思い込み)」。スピーカーは、アンコンシャスバイアス研究所 代表理事の守屋智敬さん(左上)。右下は、同研究所の太田博子さん。

 「CVポートについて意見を伺いました」

CVポートという選択肢を医療現場で提示してほしい

【山崎】たとえば元ー血管が脆くて針を刺すのが難しい患者さんや、再発して抗がん剤治療が長く続く場合などに、医療従事者から「こういう方法もありますよ」と、治療の選択肢としてCVポートの提示をしてほしいと思います。なぜなら血管障害は治療後も長引くことが多いから。もちろん、メリットとデメリットの両方をきちんと説明して、患者さんが選択できるように。
乳がん患者さんは乳房の手術をしているので、ポートを入れるためにまた胸にメスを入れることには、どうしても抵抗があります。ただ、最初は絶対イヤだと思ったとしても状況で考えは変わるものです。抗がん剤治療が始まって針が入れにくいなど、血管に支障が生じそうなときは、早い段階でポートという選択肢を提案してほしいです。

【増田】医療者側は、抗がん剤治療を始めるときに、CVポートが必要となる患者さんは、ある程度わかると思います。そういう患者さんには、あらかじめCVポートのことを情報提供して、選択肢を示してほしいと思います。医療者に提案されないと、患者からその情報にたどり着くのはなかなか難しい。それに、患者のほうから、医療者に提案することは、なかなかできないことですから。私はセミナーで「ポートで救われた」という体験者の話にすごく胸を打たれました。誰もがポートを選択するべきとは思いません。でも、ポートで救われた人の声をぜひ医療者にも知ってもらって、「ポートを使いたい」と思った方がスムーズに選択できる環境をつくってほしいと思います。