インプラント(人工乳房)による再建
インプラントと呼ばれる人工乳房を埋め込んで、体に負担をかけずに乳房を再建します。
現在使われているインプラントは、コヒーシブシリコンといって、破損しても中身が飛び出さない安全なもので、感触も自然です。
インプラントによる再建の手順
①インプラントを入れる前に、皮膚拡張器(エキスパンダー)を乳房の大胸筋の下(背中側)に入れます。
②そこから時間をかけて、少しずつ生理食塩液を入れて皮膚を伸ばし、十分な大きさの乳房ができるようになったら、エキスパンダーとインプラントを入れ替えます。
残った皮膚に余裕のある人や、もともとの乳房が小さめの人は、大胸筋の下に直接インプラントを挿入する方法もあります。

画像提供:認定NPO法人乳房健康研究会
※インプラントを入れた後でも、反対側の乳房のマンモグラフィ、超音波検査、MRIを受けることができます。ただし、エキスパンダーには金属が入っているので、エキスパンダー挿入中は反対側の乳房もMRIを受けることができません。
インプラント(人工乳房)による再建の合併症
エキスパンダー挿入中は細菌に感染しやすく、①38℃以上の熱が出る、②胸部が赤くなる、③痛みが出るなどの症状が起こることがあります。
そうなった場合は患部を冷やし、すぐに専門医の診察を受けてください。もしも悪化した場合はエキスパンダーを取り除くこともあります。
インプラントを入れた後は、人工物に対する自己防衛反応として、インプラントの周囲に被膜(コラーゲン繊維の膜)が形成されます。
まれに、この被膜が硬く縮んで「被膜拘縮(こうしゅく)」と呼ばれる現象を起こすことがあります。また、インプラントが回転することがあります。
脂肪注入による再建術
インプラントによる乳房再建で見られる鎖骨下の凹み、自家組織を用いた乳房再建における組織量不足などに対して、脂肪注入(脂肪移植)による乳房再建が行われるようになりました。
ただし、脂肪注入による乳房再建には、「注入した脂肪が壊死を起こす」、「局所再発と紛らわしい所見を示す」などの問題があり、専門家による慎重な手術が必要とされます。脂肪注入による乳房再建は、これからの研究課題です。
監修:相良 安昭(社会医療法人博愛会 相良病院 院長)