乳房切除術(全摘)

しこりの大きさが4~5㎝以上あったり、複数のしこりが離れた場所にある多発性のがんなど、形の良い乳房を残すことが難しい場合、最初から乳房を全部切除する乳房切除術を行います。

また、術前薬物療法を行ってもがんが小さくならない場合や、ステージ0期でも広い範囲の乳管にがんが広がっている場合は、全摘する乳房切除術が適応されます。

乳房切除術が適応になるケース

  • 形の良い乳房を残すことができない場合(しこりの大きさが4~5㎝以上の場合)
  • 乳房内の離れた場所にしこりが多発している場合
  • 0期でもがんの広がりが大きい場合
  • 手術後に放射線治療が受けられない場合
  • 遺伝性のがんの場合
  • 本人が希望している場合

 ※放射線治療が受けられない場合でも、 70 歳以上でホルモン受容体陽性の腫瘍の大きさが小さい乳がんでは、乳房温存術が可能です。

乳房切除術の方法

乳房切除術では、大胸筋(乳房の背面にある胸で最も大きい筋肉)と、小胸筋(大胸筋の奥にある筋肉)を残してリンパ節を切除する「胸筋温存乳房切除術」が一般的です。リンパ節への転移をピンポイントで調べる検査「センチネルリンパ節生検」が必要な場合はこの手術中に行います。

通常の乳房切除以外に、皮膚を残して乳頭、乳輪と乳腺をすべて切除する「皮膚温存乳房切除術」と、乳頭、乳輪、皮膚を残して乳腺をすべて切除する「乳頭乳輪温存乳房切除術」があります。この方法は、乳房再建を行うことで元の形を再現しやすいメリットがありますが、腫瘍が皮膚や乳頭乳輪に近い場合は再発リスクが高くなるため適しません。

乳房切除術は全身麻酔で行われ、手術には2~3時間を要します。手術の終了時には、傷口から染み出る血液やリンパ液を排出するために、ドレーンという細い管を入れます。

胸筋温存乳房切除術

 大胸筋と小胸筋は残す。

皮膚温存乳房切除術

皮膚温存乳房切除術

皮膚を残して乳頭、乳輪と乳腺をくりぬく

乳頭乳輪温存乳房切除術

乳輪温存乳房切除術

乳頭、乳輪、皮膚を残して乳腺を切除する

 画像提供:認定NPO法人乳房健康研究会

監修:相良 安昭(社会医療法人博愛会 相良病院 院長)